米IBM社、EL発光するカーボン・ナノチューブ・トランジスタ開発

 米IBM社は2005年11月17日(米国時間)、EL(electroluminescent)発光するカーボン・ナノチューブ・トランジスタ(CNT:Carbon Nanotube Transistor)を世界で初めて開発したと発表した。このEL発光は、LED(Light Emitting Diode)に比べて、光強度は1000倍で、光量子束(Photon Flux)は1万倍という。

 開発した技術を使えば、GaAs材料で1つの光子を得るために必要なエネルギ消費量で、Siから何千もの光子を得ることが可能だ。同社では、カーボン・ナノチューブ・トランジスタを使って、Siチップ上で光集積回路を実現する考え。これを実現できれば、GaAsなどのような特殊な半導体材料を使わずに電子回路を高速化できる上に、コスト低減も可能だとしている。

 IBM社によると、不純物をドープしたSiウエハー上に作成したカーボン・ナノチューブを電気的に励起することで、光強度がLEDの約1000倍というEL発光を得られたという。発生した励起子は電気的には中性だが、再結合によって赤外光を放出する。

 カーボン・ナノチューブによる発光については、レーザー励起によるフォトルミネセンス(PL)発光を観測した研究グループの報告は以前にもあった。しかし今回、同社が開発した技術は、電気的な励起だけでPL発光の約100倍と高い励起子密度を達成した点に新規性がある。

 高濃度ドープしたSiウエハー上にSiO2膜を成膜し、エッチングでトレンチ構造を形成することで、発光するトランジスタを作成した。このSiウエハーは、カーボン・ナノチューブ・トランジスタのバック・ゲート電極の役目を果たす。バック・ゲート電極に注入する駆動電流に対して、赤外光の強度は指数関数的に増大する。

(R. Colin Johnson:EE Times)


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