国際観測チーム、太陽系外の3惑星の直接撮影に成功
カナダ国立研究所(National Research Council)のChristian Marois氏が率いる国際観測チームが、米ハワイの観測所で、太陽系外の3惑星を可視光でとらえることに成功していたことが明らかになった。複数の惑星を含む恒星系の直接撮影は、今回が初めてとなる。この撮影の成功は、大気の揺らぎをリアルタイムで補正する、補償光学技術の採用によるところが大きい。
土星や木星よりも巨大な、この3つのガス惑星は、地球から130光年離れたペガサス座の恒星「HR 8799」の周りを公転しているという。
NASAは2008年11月13日に、太陽系から25光年離れた「みなみのうお座」の恒星を回る惑星「フォーマルハウトb(Fomalhaut-b)」を可視光でとらえた写真を公開した(参考記事「NASA、太陽系外惑星を初めて直接撮影した可視光画像を公開」)。NASAが打ち上げた、口径2.4mのハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)が撮影した写真だ。
今回、カナダや米国、英国の天文学者からなる国際観測チームが、太陽系外惑星の撮影に成功したハワイのケック天文台は、ハッブル宇宙望遠鏡をはるかに上回る大きさの天体望遠鏡を備えている。ハッブル宇宙望遠鏡にも引けを取らない高度な撮影を可能にしたのは、補償光学技術である。
天文学者たちは長年、惑星の引力によって引き起こされる、恒星の「よろめき」を観測することで、太陽系外惑星の存在を推測してきた。この「ドップラ法」と呼ばれる手法によって間接的に発見された惑星の数は、過去10年間で326個にも上る。そしてついに、補償光学技術の進歩により、地球上最大の天体望遠鏡から、太陽系外惑星の姿を直接とらえることが可能になったのだ。
これまで、地球から観測可能な巨大ガス惑星は、誕生後6000万年以下の惑星だと考えられてきた。しかも、従来の天体望遠鏡では、感度が不十分なため、太陽系外惑星の撮影は不可能だといわれていた。
今回、国際観測チームが観測に利用したのは、ハワイにあるジェミニ・ノース天文台とケック天文台である。まず、ジェミニ・ノース天文台にある口径8m(26フィート)の天体望遠鏡が2つの惑星の姿を撮影し、その後、ケック天文台にある口径10m(32フィート)の天体望遠鏡が3つの惑星すべての撮影に成功した。HR 8799と呼ばれる恒星系を撮影したこの写真では、質量が木星の約10倍にもなる巨大惑星を3つ確認できる。HR 8799は、地球から、辛うじて肉眼で見える程度の大きさの恒星系である。
補償光学技術を採用するジェミニ望遠鏡とケック望遠鏡は、中心星の光を除去する後処理技術を利用することで、惑星やちりの帯だけを画像として残すことができる。さらに、「角度差分画像法(Angular Differential Imaging)」と呼ばれるデータ処理技術によって視野を回転させ、後処理アルゴリズムで、周囲に点在する明るい星の光を抑制している。
また、大気のゆらぎを補正することで、惑星から放たれるかすかな光が、地球からでも観測可能となる。望遠鏡が回転するたびに、特定の情報だけを抽出するコンピュータ・プログラムである、データ処理パイプラインによって、画像から周囲の星の光が除去されていく。こうして得られた複数の画像を調整し、組み合わせることで、太陽系外惑星の高感度撮影が実現したのだ。
(R. Colin Johnson:EE Times、翻訳:松永恵子、編集:EE Times Japan)
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