オバマ米大統領の予算教書、テクノロジの研究開発と科学/工学の教育に重点を置く

 米国のBarack Obama(バラク・オバマ)大統領は、2010会計年度の予算要求を公表し、エネルギ省のプログラムや、技術革新に向けた商務省の新たな資金、そのほか国際競争力を高める構想などに合計260億米ドル以上を投入し、さらに工学分野の教育や「リスクの高い」研究に向けて米国立科学財団(NSF:National Science Foundation)の予算を16%増やす方針を明らかにした。

 オバマ大統領は、同政権として初となる予算教書(予算の編成方針)を2009年2月26日に発表し、3兆5500億米ドルの連邦政府支出を打ち出した。米国経済の活性化を狙って、これまでの連邦政府支出の優先順位を大きく変更し、医療や国際競争力強化に向けた、研究や教育に予算を投入する。

 オバマ大統領は、2010年度の連邦政府支出計画の発表において、「今は、大きな矛盾と大きな期待のときである」とし、「何百万人もの米国人が求職中にあるという現状において、将来に向けてやるべきことも山ほどある。このため、米国再生・再投資法案(ARRA:American Recovery and Reinvestment Act)に基づき、クリーン・エネルギや教育、医療、新しいインフラ整備など、長期にわたる懸案を優先事項として連邦政府支出を割り当てていく」と述べた。

 行政管理予算局が公表した予算教書によると、2010会計年度におけるエネルギ省の予算要求は、合計263億米ドルで、さまざまなクリーン・エネルギの研究イニシアチブに投入される。その中には、エネルギ省の配電・エネルギ信頼性局(OE:Office of Electricity Delivery and Energy Reliability)に対する資金も含まれており、それにより「スマート・パワー・グリッド(Smart Power Grid)」イニシアチブを推進していくという。

 オバマ政権は、基礎的な研究開発に向けて連邦政府投資を倍増させる取り組みの一環として、科学技術局への投入予算も拡大する。科学技術局は、エネルギ分野のリスクの高い研究を中心に手掛ける「エネルギ先端研究計画局(ARPA-E:Advanced Research Projects Agency-Energy)」の設置を担当する予定だ。

 エネルギ省の予算提案には、エネルギ効率化プログラムの融資保証や、新しいクリーン技術の導入などに対する資金も含まれる。

 予算教書によれば、米国立科学財団の2010会計年度の予算案が70億米ドルに増えたことにより、科学・工学分野の大学院の研究に対する奨励制度だけでなく、「ハイテク分野における技術者の教育サポート」にも資金を投入できるようになる。また、支出計画に基づき、「リスクは高いが、成功時の見返りが大きい」科学技術研究にも資金が投入されるという。

 商務省は、予算要求138億米ドルのうち、技術イノベーション・プログラム(TIP:Technology Innovation Program)に対する新たな資金として7000万米ドルと、製造技術普及計画(MIP:Manufacturing Extension Partnership)の再編資金として1億2500万米ドルを予定する。また、知的所有権の効率化と保護措置の改善に向け、米国特許商標局(USPTO)に割り当てる予算を大幅に増やすという。

 米国の業界団体は2009年2月23日の週の前半に、前ワシントン州知事を務めていたGary Locke氏が商務長官に指名されたことを高く評価した。米国商工会議所は、2009年2月25日の報道発表資料の中で、「Locke前知事は、ワシントン州において知的所有権の盗用を厳重に取り締まったという優れた実績を残している。さらに、知的所有権に関する認識を高めるべく、特に中国を始め、世界各国において関心の向上に務めた」とコメントしている。

 米航空宇宙局(NASA:National Aeronautics and Space Administration)の2010会計年度の予算要求は、総額187億米ドルで、その中には有人/無人の宇宙探査のほか、国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)の完成に向けた費用が含まれている。

(George Leopold:EE Times、翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan)


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