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本流の技術を見極めて育てる
コイズミ照明 吉久保 光宏氏

 次世代照明を担う白色LEDには、白色光を得る方式が複数ある。照明用として好ましい白色LEDとは何か。コイズミ照明の吉久保光宏氏は色の再現性(演色性)を重視し、紫色LEDとRGB蛍光体の組み合わせが本命だと考えた。青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせは発光効率が高く、照明器具を作りやすいが、赤色の再現性が特に悪く、青色と黄色が分離して見える場合もあったからだ。3年の開発期間を経て、2009年5月に製品化する照明器具は、色温度が3000Kの電球色タイプの場合、波長400n〜660nmの範囲でハロゲン・ランプとほぼ同じスペクトルを示し、深い赤以外の演色評価数をすべて95以上に高めた。「LED照明の最終的な目標は白熱電球と演色性の点で区別できないこと。紫色LEDを使うことで、目標に近づくことができた」(同氏)と語る。

 

EE Times Japan(EETJ) 照明器具開発への取り組みについて教えてほしい。

吉久保氏 アクリル板を利用する広告向けの光源を2年前に手掛けた。私の背面に写っているもので、駅広告などに用いる。従来は光源に使う蛍光灯自体が広告と重なって見えた。寿命を長くし、電力を抑えたいという要求にも応える必要があった。そこで、EEFL(External Elec-trode Fluorescent Lamp:外部電極蛍光灯)に注目した。発熱が少なく、低電力で長寿命などの特長があったからだ。

 開発時にはEEFLの本数や配置間隔のほか、アクリル板とEEFLとの距離設定にも苦労した。試作品を顧客に見せると「もう少し隅の方を明るくしてほしい」、「蛍光管が薄く見えているので見えなくしてほしい」などの要求が来る。だが、感覚的な指摘には応えにくい。試作品を作っては評価し、ということを繰り返した。最終的には輝度も従来の3倍に高められた。このときの経験もあり、試作品を顧客に見てもらうだけではだめだと感じた。展示会に出向き、来場者と話すことが必要だ。反応が悪い場合、器具の開発を中断することもある。

EETJ 紫色LEDを用いた白色照明器具の開発で苦労したことは何か。

吉久保氏 当社は蛍光体やLED素子の技術を持っていない。そこで西日本の大学の研究室や蛍光体メーカー、素子メーカーと提携し、LEDの開発から始めた。開発目標は、平均演色評価数(Ra)について白熱電球と同じ100を満たすこと、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせた白色LEDに対して8〜9割の発光効率を実現することだ。もちろん輝度や寿命、色温度も重要だ。紫色LEDを使う方式自体が優れていたため、Ra95はすぐに達成できた。しかし発光効率が上がらない。蛍光体メーカーなどと協力して改善を重ねていった。寿命を左右するエポキシ樹脂についても材料メーカーと協力して改良したほか、素子を封止するパッケージの形状や蛍光体の配置を工夫した。

 苦しかったのは競合照明器具メーカー各社が次々と青色LEDを用いた白色LED照明を製品化し始めたことだ。私自身、良い技術があるのに製品化できないもどかしさを感じた。他部署の焦りはさらに強かっただろう。演色性が重視されない屋外照明向けに青色LEDを用いた器具も開発したが、紫色LEDを用いた白色LEDの技術研究所での開発状況を説明して、なんとか青色LEDを用いた器具を主力製品とせずに待ってもらえた。

 性能向上のためのこれ以上の開発をいったん中断し、量産に向けた決断が下ったのは2008年4月だ。研究者である自分としてはRa100に加え、効率を青色LEDを使う白色LEDの8〜9割まで高めたかったが、これ以上開発期間を延ばすと紫色LEDを用いた白色照明器具の市場性がなくなる。それでも、2009年5月に製品化する商品の効率は青色比で7〜8割まで高めている。

EETJ 失敗事例を教えてほしい。

吉久保氏 失敗とまでは言えないが、量産に向けたコストダウンには苦労した。一般に住宅向け照明器具は、工務店への納入時にほかの電気設備と区別なく一律何%引きという形で値引きを要求される。このため、社内では照明器具の原価率が決められていた。本来、例外は認められない。紫色LEDを用いた白色照明器具は基準を満たしていないが、固体照明の主役を担うという理由で認めてもらえた。

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