スイスの研究グループ、分子1個で機能する最小の光トランジスタを試作
出典:Swiss Federal Institute of Technology
スイスのSwiss Federal Institute of Technology(ETH Zurich)の研究チームは、単一分子からなる光トランジスタを試作することに成功したと発表した。
ETH Zurichの研究チームは、単一分子にレーザー光を照射するだけで、レーザー動作の基となる誘導放出を発生させることに成功した。分子は温度が低い状態では光との相互作用における断面積が増える。これが今回の研究で役立ったという。ETH Zurichの研究者は、-272℃(1K)という低温になるよう分子を冷却した。
レーザー光を利用した制御下で単一分子の量子状態を調整すると、第2のレーザー光を大きく減衰または増幅できる。このような動作は、従来の電子を用いたトランジスタと同じだ。
ETH Zurichは、今回の研究で使用した分子は染料として使われるものだとしており、分子構造については明らかにしていない。
光コンピューティングは処理性能や熱効率に優れているため、長年にわたり実用化を目指した研究が続けられてきた。フォトン(光子)回路は電子回路より熱の発生量が少ないだけでなく、データ伝送速度もかなり速くできるからだ。しかし現在のところ、長距離通信から短距離通信、そして個別システムへと光通信の普及が徐々に進んだにすぎない。
これまでにも電子や光子を用いて制御可能な光スイッチは開発されてきた。しかし、「電子トランジスタを現在普及している半導体チップに例えるなら、光トランジスタはまだ、1950年代によく使われていた真空管アンプに近いレベルだ」(ETH Zurichの物理化学研究室の教授であるVahid Sandoghdar氏)という。
今回ETH Zurichが発表した単一分子からなる新型トランジスタのような部品は今後、量子コンピュータの未来を切り開くことになるかもしれない。Sandoghdar氏は、「トランジスタを電子ではなくフォトンで制御できるようになるまでには、今後も長期にわたる研究が必要だろう。われわれは量子コンピュータという夢の実現に向けて、量子システムを操作すし、制御する方法の研究に取り組んでいくつもりだ」と語った。
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