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iPadは大ヒットとなるか、中途半端な製品で終わるか

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 米Apple社が2010年1月27日に発表したタブレット型コンピュータ「iPad」は、早くも世界で最も人気のあるタブレット型コンピュータになるといわれているが、果たして本当にそうなのだろうか。

 従来のタブレット型コンピュータの年間出荷台数は、世界中で200万台未満と見られる、決して大きな市場ではない。ある専門家は、その数は年々減少しているという。一方、電子ブック・リーダーやネットブックの市場はいまだ成長を続けている。そして、iPadが備える機能は電子ブック・リーダーやネットブックと比べると難がある。

ネットブックに比べると処理能力に疑問

 iPadの発表会場であるYerba Buena Center for the Arts前のベンチに腰掛けていたCooper氏に意見を聞いてみた。彼は、Oregon Institute of Technologyの学生であり、Macユーザーだ。しかし、彼が所有している台湾Acer社のネットブック(250米ドル)と比較すると、500米ドル以上にもなるiPadに「興味はわかない」という。

 実際、Cooper氏のネットブックと比べると、「iPad」は高価な割には処理能力が足りない。「iPad」は、Apple社が開発した1GHz動作のプロセッサ「Apple A4」を搭載し、iPhone OSが標準で動作する。オプション販売の外付けキーボードとドッキング・ステーションを含めると、価格は約700米ドルにもなる。一方、同氏のネットブックは、動作周波数が2GHz近いプロセッサを搭載し、デスクトップ・パソコン向けのOSが動作する。価格はたった250米ドルだ。

カラー表示の液晶ディスプレイは欠点にもなる

 iPadは電子ブック・リーダーとしても優れているとは言えない。韓国LG Display社が製造する広視野角の液晶パネルを搭載しているが、このパネルは消費電力量が大きく、利用環境によっては表示が見えにくくなることがある。グレイ・スケール表示の電子ペーパーを搭載した米Amazon社の「Kindle」などの電子ブック・リーダーと比較すると、特に日光の下で読みにくいという。

 LG Display社でマーケティング部門のバイス・プレジデントを務めるDavis Lee氏は、iPadの発表会に列席し、同社の液晶パネルが「iPad」に採用されたことはおかしいことではないと訴えた。「今さらモノクロ表示のディスプレイに戻りたいと思うようなユーザーはいない」と同氏は述べた。

 Apple社が、iPadのカラー表示液晶ディスプレイを前面に押し出して、Kindleや米国の書店チェーンBarnes&Noble社の「Nook」といった電子ブック・リーダーに戦いを挑んでいるのは明らかだ。しかし、iPadのディスプレイは映画鑑賞やウェブ・サイトの閲覧には向いているものの、電子ブック・リーダーとしては前出の2製品に劣る。あるアナリストは、Apple社が次の世代のiPadに、米E-Ink社や米Pixel Qi社、米Qualcomm社などが開発・販売するカラー表示対応の電子ペーパーを採用し、鮮明な画像と優れた電力効率を両立できるようにすると見ている。

 ウェブ・サイト閲覧用の機器として見ても、iPadは十分な機能を備えているとは言えない。「iPod Touch」や「iPhone」といった小さなディスプレイしか備えていない機器よりははるかに使いやすいものの、iPadのOSはいまだにスマートホン向けのiPhone OSだ。最近のウェブ・サイトでは、米Adobe Systems社の「Adobe Flash」技術を使っていることが多いが、iPhone OSはいまだにFlashに対応していない。

はっきりしないApple A4プロセッサの正体

 iPadが搭載するApple A4プロセッサは、Apple社が開発したASICだ。だが、Apple社は、同プロセッサが1GHzの周波数で動作することしか明らかにしていない。

 Apple社は、2008年4月に米P.A. Semi社を買収し、同社の知的所有権(IP:Intellectual Property)を獲得したが、Apple A4にP.A. Semi社から獲得したIPがどれくらい採用されているのかは明らかになっていない。また、このチップの製造を請け負う韓国Samsung Electronics社のIPも利用できるはずだが、どの程度利用しているのかはっきりしない。

 早期に製品化しなければならないという圧力があったはずだと想像すると、プロセッサはおそらく「iPhone 3GS」が搭載する600MHz駆動、シングル・コアのプロセッサを多少高速化したものと考えられる。そして、1つか2つの機能を追加した程度ではないだろうか。

それでもiPadは数百万台売れる

 米Creative Strategies社のアナリストであるTim Bajarin氏は、iPadを高く評価している。「iPadは、iPhoneに向けた10万本を超えるプログラムを動かすことができ、ほかのどんなタブレット型コンピュータよりも優れたGUIを持っている」という。

 発表会後のグループ・インタビューでBajarin氏は、「Apple社はApple製品愛好家に向けてiPadを販売するだろう。そして、その台数は数百万台になる。その結果、タブレット型コンピュータ市場を倍以上に成長させるだろう」と語った。

 Apple社は、「iBook」という美しい外見の電子ブック・リーダー・ソフトウエアを作り出した。出版社は、ほかの電子ブック・フォーマットへの対応を求めるだろう。しかし、Apple社は多くの支持を得ている少数のフォーマットに対応し、iPadへの注目を集めるようにするだろう。

 カラー表示の電子ブック・リーダーやウェブ・ブラウザ、メディア・プレーヤなどの機能を備える個人用情報機器の競争はまだ続いている。そして、Apple社のiPadはまだ勝者とは言えない。

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