Intel社、高齢者の健康を管理する技術の実現へ
ネットワークを通して、患者と医療専門家の対話を実現する
米Intel社は、高齢化という大きな課題に直面しているヨーロッパにおいて、ヘルスケア関連の製品やサービスに関する研究を進めている。同社は、2005年の組織再編成の一環としてDigital Health Groupを設立した。こうした活動も自然な成り行きといえる。
同社のDigital Health GroupのEuropean research directorであり、アイルランドのTechnology Research for Independent Living(TRIL)Centerのdirectorも務めるNiamh Scannell氏は、「より少ない数の医師や看護師で、より多くの高齢者に対応するには、資金を有効に活用しなければならない」と述べる。TRILは、Intel社と、学術的パートナーであるアイルランドUniversity College Dublin、Trinity College Dublin、National University of Ireland, Galwayが共同で、数百万ユーロを投じて設立した研究施設である。
病院での医療はたいていの場合、病気であることが明らかになってから受けるものであり、治療費は高くつく。そこで、自宅での予防的医療措置が可能になれば、高齢者の医療費を大幅に削減できる。
しかし今のところ、在宅医療は決して簡単なものではない。Scannell氏は、「必要なのは、在宅医療の手法を少しずつ変えていくことだ。すでに確立したICT(Information Communications Technology)技術を利用すれば、新しい形の医療を実現できるはずだ」と述べる。
Intel社の研究成果の1つである家庭用健康管理機器「Intel Health Guide」は、個々の患者に合わせた情報を提供し、医療専門家に相談するためのネットワーク機能を提供する(図1)。患者は、自宅にいながら自身の健康を管理できる(図2)。Intel Health Guideは現在、3種類の重篤な疾患を持つ患者を監視する機能を備える。3種類の疾患とは、心不全とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、糖尿病だ。Scannell氏は、「Intel Health Guideは、患者と医療専門家を1対1でつなぐ。医療専門家は、患者の状態をより具体的に把握できる。その結果、対応可能な患者数を増やせる」と述べる。
データを医療専門家に送ることで、適切な助言を受けられる
Intel社は、TRILにおける活動を通じて、ヘルスケア関連のソフトウエアやサービスを重点的に研究している。また、転倒の予防方法や認知機能などの研究だけでなく、社会との接触が健康に及ぼす影響も調査している。
Scannell氏によれば、「転倒による負傷の治療は高くつく。患者が病院に到着するまでに手遅れとなっていることも多い」という。Intel社は現在、転倒につながる可能性がある症状を早期発見できるよう、低コストで患者の歩行を監視できる手法を開発すべく取り組んでいる。
また同社は、ワークショップを開催して、外出の困難な患者が孤独感を克服できるような技術の活用法を調べている。「Building Bridges」と呼ばれるプロジェクトでは、VoIP(Voice Over IP)装置を開発した。この装置を患者の自宅からネットワークに接続することで、ネットワーク上に仮想的な「喫茶室」を設け、孤立しがちな患者の相互交流を実現している。Scannell氏は、「喫煙がガンの要因であるのと同様に、孤独感が老化に対して及ぼす影響は大きい」と述べ、孤立を回避することの重要性を説く。
専用のVoIP装置は、簡単に操作できるように配慮してある。タッチパネル付きのディスプレイを備え、地域のニュースなどの話題をインターネットから取得して表示する。仮想的な喫茶室に参加する前に、すでに参加している人を確認でき、その気になったときにはごく簡単な操作で参加できるようになっている。
Scannell氏は「高齢者は電子技術、情報技術を恐れてはいない。彼らはテレビや洗濯機、自動車を操作している。電子技術、情報技術をすでに活用していると言えるだろう。最近はパソコンを使う人も増えてきている。調査の結果判明した事実の1つに、多くの技術が高齢者が使うことを想定せずに開発されているということが挙げられる」と述べた。
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